悪夢のループ 第2部第1話
「…起きろ、ガオイエロー…」
暗い闇の中。
岳は朦朧とする意識の中で、誰かに呼ばれているのに気付いた。
(…誰…だ…?)
「起きろっつってんだろ、ガオイエロー!!」
次の瞬間、股間をギュッと握られた。
「うぐッ!!」
岳はその痛みで目を覚ました。
自分がベッドの上に横たわっていることが分かった。
今、岳はどこかの倉庫に連れてこられていた。
遠くに子供達の歓声が聞こえる。
どうやら遊園地の中らしい。
その薄暗がりの中で、自分より背の高いゴツゴツした体付きの男が立っているのと、もう一人、白いスーツ姿の男が立っているのに気付いた。
「…ダークオルグ…様…」
マスクは外されたままで、黄色い光沢のあるガオスーツに身を包んでいる岳。
しかしそのスーツの股間は光沢を失っていた。
それどころか、そこには濃い、粘着質のある液−精液がベットリとこびり付いていた。
ダークオルグの手によって強制射精させられたのだ。
そして。
岳の股間からは岳自身が飛び出していた。
しかもそれはビンビンに勃起し、先走りを垂らして。
ダークオルグによって、岳は強制射精させられることでその思考能力を完全に奪われ、ダークオルグの操り人形と「変心」させられていたのだった。
正義よりも性欲を増長され、ちょっとでも股間を触れられれば反応してしまうようにされてしまったのだった。
「ようやく目が覚めたか、ガオイエロー・岳!」
ダークオルグが岳の目の前でニヤニヤしている。
とその時だった。
「あうっ!!」
岳が喘ぎ、体をピクリと反応させた。
「ほほぅ♪テツは完全に身も心もオレの操り人形となったか!」
ダークオルグがニヤリとした。
「…んっ、…んあ…ッ!!」
岳は目を閉じ、時折体を弓なりにする。
真っ白い光沢のあるスーツに身を包んだ男・テツが岳の股間をまさぐり、それをパクリと口に咥え込んでいたのである。
…クチュ、…チュブ…!!
「…んッ、…んああ…!!」
喘ぎながら岳は時折、腰を上下に振っている。
「ハァッハッハッハ!!正義のヒーロー、ガオイエローの果てがこの様とはな!」
「ああああっっっ!!イッ、イクッ!!」
ビュッ、ビュッ!!
岳はテツの口の中に自身のエネルギーをまた放った。
テツはそれを飲み干す。
「…美味しい…」
テツがうっとりとした表情で微笑んだ。
口元から岳の精液がトロリと零れた。
「さぁ、行くぞ!お客様がお見えだ!」
ダークオルグが言った。
岳とテツが立ち上がる。
「岳。そのお客様はお前にやろう。お前の昔の仲間だからな!」
そう言うとダークオルグはフイッと外を見た。
「…ガオレッド・獅子走か。…アイツのエネルギーも充分に吸い取れるだろうな…」
(…獅子、…走…?)
その名前を聞いた途端、
「…う、…あああ…」
岳は声をあげ、頭を抱え始めた。
「…カ…ケ…ル…?」
その時、岳の体にも変化が起こっていた。
顔は上気し、目はギラギラとしている。
息は荒くなり、ニヤリとした口元からは涎が垂れていた。
そして股間。
それが再び頭をもたげ、瞬時に大きくなっていた。
「…どうだ、岳?貴様がずっと襲いたいと思っていた男がすぐ近くまで来ているのだ。そりゃ、ここもこんなになるだろうな!」
そう言うとダークオルグは岳のそこを再びギュッと握った。
「んああああっっっ!!」
あまりの刺激に岳が声をあげる。
…ドロ…、…ボタ…ッ!!
その刺激で岳の先走りが再び溢れ、床に塊となって落ちた。
「続きはヤツとするのだな。行くぞ!」
ダークオルグを先頭に、岳とテツが歩き始めた。
「岳ぅっ!!お〜いっ、岳ぅっ!!」
スラリとした長身の男が駆け回っている。
赤いジャケットを羽織り、バタバタと駆け回る。
ガオレッド・獅子走。
「おっかしいなぁ…。岳とここで待ち合わせって言ったのに…」
走はちらりと腕時計を見た。
「…ま、まぁ、オレが予定時刻を過ぎたってのも悪いけど…」
再び走り出そうとした、その時だった。
ザザザ…ッ、という音と共に、走の前に数人の男が現れた。
グレーの体に赤や紫のライン、そして頭のてっぺんには角。
「…オ、…オルゲット!?」
走は思わず叫んだ。
「…な、何故だッ!?…オルグは倒したはずなのに…!!」
オルゲットは何も言わずに走に飛び掛ってくる。
「はぁっ!!でやッ!!」
走はその攻撃をかわし、必死に応戦する。
「くそォッ!!」
走はGフォンを取り出した。
そして、
「ガオアクセスッ、哈ァァァッッッ!!!!」
と叫ぶ。
眩しい光に包まれ、走の体は鮮やかな赤の光沢のあるガオスーツに包まれていた。
「うおおおりゃああああっっっ!!!!」
次々にオルゲットを薙ぎ倒していく。
しかし多勢に無勢とはこのことだ。
倒しても倒しても次から次へと現れるオルゲット達。
「…はぁ…、…はぁ…」
徐々に体力を奪われてゆく。
とその時、一匹のオルゲットが金棒を振り上げて襲い掛かってきた。
「こンのォッ!!」
走がパンチを繰り出す。
しかしそれより一瞬早く、オルゲットは身を低くした。
(!?)
オルゲットの目が光ったような気がした。
するとオルゲットは金棒を野球のように横一文字に持つと、それを走の股間目掛けて思い切り叩き付けた。
ドゴッ!!
「…ぐ…あ…ぁ…!!」
一瞬、息が止まる。
鈍い音と鈍い痛みが走を襲う。
「痛ってェェェッッッ!!!!」
走がスーツの上から股間を押さえる。
「こンの野郎ッ!!」
何とかしてオルゲットを倒す。
とその時だった。
バリバリバリバリ…ッッッッ!!!!
電撃音と共に、走の体が瞬時に電撃に包まれた。
「うぐわあああああっっっっ!!!!」
走は体を硬直させ、その電撃に必死で耐えた。
「…あうぅ…!!」
ガクリと膝をつく。
電撃で体中が痛い。
「ようこそ、ガオレッド!」
名前を呼ばれ、はっとして見上げる。
と、そこにはゴツゴツとした体付きの大きな男が立っていた。
「…オルグ…?」
「いかにも。我の名はダークオルグ」
「…オルグの残党が、…まだいたのか…?」
「そうだ。センキが倒れたから全てが終わったわけではない。…そう言えば、あの男もそんなことを言っていたな」
「…あの…男…」
点と点が繋がって線になっていく。
全てが繋がった瞬間、走の顔はマスクの中で蒼白になっていた。
「…ま、…まさか…ッ!?」
走の声が震える。
「お前の思っていることが正解だと思うよ。ガオイエローだったかな、私に向かってきたさ」
「岳はッ!?岳はどこにいるッ!?」
するとダークオルグはニヤリとした。
「慌てるな。感動の再会を用意して待っているよ。マスクを外してついてこい」
そう言うとダークオルグはゆっくりと歩き出した。
「…」
走はマスクだけを外し、スーツ姿でその後に従った。
「ここにいるよ」
指差されたのは小さな倉庫。
「この中にヤツはいるよ」
「岳ぅっ!!」
無我夢中で飛び込む走。
目の前に岳はいた。
走と同じようにマスクを外し、だらしなく足を投げ出して座り込んでいる。
下を向いているので表情は分からない。
「…岳ッ!!…おいっ、岳ぅっ!!」
走が岳を揺り起こそうとする。
岳の体を見た瞬間、走は言葉を失った。
「…岳ッ、何をされたんだよッ!!」
「…うぅ…」
岳が呻き声をあげた。
「…岳?」
「…カ…ケ…ル…」
突如、岳の目がカッと見開き、その口元に笑みが浮かんだ。
「!?」
瞬時に身の危険を感じた走。
だが、既に遅かった。
ガシッ!!
突然、走は背後から羽交い絞めにされた。
「なッ、何だッ!?」
走の後ろにはニヤニヤして走を引っ張っているテツ。
その力の物凄いこと。
無理矢理にでも走の体は地面に投げ出される格好になった。
「…はッ、離せよッ!!」
走がもがこうとするがテツの力で動けない。
だらしなく伸ばした足の目の前に岳がいる。
「…が、…岳…!?」
岳の姿に走は絶句した。
ニヤニヤとし、瞳をギラギラとさせ、涎を垂らしている。
そしてその股間が大きく天を向いて勃っていたのだ。
「さぁ、最大のショーの始まりだよ、ガオレッド!」
ダークオルグの冷たい声が響く。
「…お前を処刑するためのね!」