僕だけのヒーロー 第22話


「…よし、っと」

ある日の昼下がりのことでした。
竜也さん達はいつものように出かけていて、事務所の中は僕一人しかいませんでした。
その日、僕は朝から自室に閉じ篭り、ある物を作っていました。

「…これで、竜也さんを…」

僕の頭の中に妄想が浮かびます。
タイムレッドにクロノチェンジした竜也さん。
壁際に大の字に束縛されて、身動きすら取れません。
そしてスーツの中で大きく勃起したアソコを突き出し、僕が開発したものを当てられ、激しく悶えています。

『うわああああっっっ!!やッ、止めろォッ!!止めてくれェェェッッッ!!!!』

『…フフフ。正義のヒーローの処刑の時間です。…竜也さんの正義のエネルギーを全て頂くことにしましょう』

『あああっっ!!おっ、お許し下さいッ、シオン様ぁっ!!…ああッ!!…ああッ!!…イクッ!!イクッ!!うぅおああああぁぁぁぁっっっ!!!!』

「…ックッ…!!…フフフ…」

僕の顔はだらしないくらいに緩み、股間は大きく膨らみ、短パンを大きく押し上げていました。
その時でした。

「おい、シオン」

突然、背後で声がして、僕は現実に引き戻されました。

「!?ドッ、ドモンさんッ!?」

そこには僕や竜也さんと同じようにタイムレンジャーとして戦う長身でガッチリ体型のドモンさんがいました。

「ど、どうしたんですか?」

あまりの突然のことにビックリした僕はドモンさんに尋ねました。

「営業は?」

するとドモンさん、ちょっとため息を吐いて、

「あまり成果なし」

と言いました。

「それよりさ、シオンに話があるんだ」

ドモンさんの顔が急に真面目になりました。
暫くの沈黙が僕達の間に流れます。

「…どうしたんですか、ドモンさん?」

普段のドモンさんは凄くお調子者で、明るくてひょうきんなのに。

「…あのさ…」

するとドモンさん、突然膝まづいたかと思うと、

「お願いしますッ!俺にも忠誠を誓わせて下さい!」

と言い放ったのです。

「…はぁ?」

僕は何のことか分からず、呆然としてしまいました。
するとドモンさんの口から衝撃の事実が話されました。

「シオン、竜也のことが好きなんだろ?竜也ともうやっちゃったんだろ?」

「!」

僕の顔は瞬時に凍り付きました。
ドモンさんに僕と竜也さんの関係を見抜かれています。
まさか、竜也さんが喋っちゃったんでしょうか。

「実はさ。竜也、ずっとシオンのことが好きなんだよ」

「!?」

僕の頭の中はますます混乱していました。
竜也さんが僕のことを好きだなんて。
本人からも告白されていないのに。
無理矢理犯してる時も竜也さんは止めてくれしか言わなかったのに。

「…この間、お前が竜也とやっている時に、偶然、早く帰ってきて。お前の部屋から竜也の叫び声が聞こえて。思わず覗いちまったんだ。そしたら、あの竜也が凄く淫らでさ、お前に『…シオン様のためなら…、…何でもします…。…何だってして下さい…』って言っていたのを聞いちまったんだ…」

僕は顔から火が出ているのが分かるくらい、火照っているのが分かりました。
そんなところをドモンさんに見られていたなんて。

「…それを見ていたら、俺も我慢が出来なくなっちまって…」

それって、ドモンさんがただ単にやられたいだけなのでしょうか。
それとも、僕のことをドモンさんも好きってことなんでしょうか。
ドモンさんの話は続きます。

「…アイツ、思った以上に恥ずかしがり屋でさ、自分の気持ちを素直に外に出さないんだ。アイツ、俺達に初めて出逢った時からお前がかわいいって言ってたんだぜ?」

「…そ…ん…な…!!」

気が付くと、僕の目からは涙が溢れ出していました。

「…僕は…、…僕は…」

何をしていたんでしょう。
竜也さんを振り向かせたくて、竜也さんを自分のものにしたくていろいろな手を使って…。

「…ごめんな、シオン。…いや、シオン…様…」

そう言ってドモンさんは立ち上がると、僕を静かに抱き締めました。
ドモンさんの服と汗の匂いが僕の鼻を掠めました。

「竜也も俺も、シオンが好きなんだ。もちろん、シオンが竜也に惚れてるってのも知ってるよ。でも竜也の気持ちを考えるといてもたってもいられなくなってさ。俺、竜也とお前の仲を壊したくないから。せめて俺はお前の忠実な部下になりたいって思ったんだ」

「…ドモン…さん…」

僕は涙でぐしゃぐしゃの顔でドモンさんを見ました。

「ダメかな?」

ドモンさんが優しく微笑んでいます。

「…ドモンさんはそれでいいんですか?僕と竜也さんが仲良くしてるのに、嫉妬したりしないんですか?」

「…全然って言ったら嘘になるかもしれねぇけど…」

ドモンさんはニコニコしながら僕を見つめています。

「シオンがそれで幸せならいいんだ。俺はシオンの幸せを大切にしたい。シオンが竜也を好きなのなら、俺は2人を守る部下でいたいな、なんて!…そぅだ!今度2人で竜也をやっちゃおうか!?」

いつもの意地悪い笑みで笑うドモンさん。

「いいですね、それ!」

僕にもようやく笑顔が戻りました。

「ドモンさん。もう1人のヒーローになってくれますか?」

するとドモンさんは、

「もちろんです!シオン様のお好きにして下さい!」

と言ってニヤリとしました。


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