課外授業 第2話


「オレはガキなんかじゃないッ!!」

全ての始まりは魁の一言だった。
冥府インフェルシアの冥獣と戦っている時だった。
魁がすんでのところで冥獣の攻撃をかわしたのだ。
それは傍で見ていたオレを冷や冷やさせた。
その時は魁とオレしかその場に居合わせなかった。

「よぉっしゃあああっっっ!!!!」

魁がガッツポーズをする。

「チィ兄ィィッッ!!」

マジレッドのスーツを着ている魁が声を弾ませてオレの方へ向かって来る。

「どう、オレのアクション?決まってるだろ?」

「バカか、お前は!」

思わず魁の頭を殴るオレ。

「痛てぇなぁッ!!何するんだよぉッ!?」

魁が声をあげる。

「もう少しずれてたらお前、確実にやられてたぞ!?」

「んな事ァ、分かってたよっ!!」

魁が言う。

「じゃあ、何でッ!?」

オレが聞き返す。

「そこがぁ、オレの戦う時の美って言うかぁ…」

魁がポリポリと頭を掻く。

「…ガキ…」

オレは呟く。

「何だとぉっ!?」

ガキという言葉に過敏に反応する魁。

「何でオレがガキなんだよっ、兄ちゃんッ!!オレはガキなんかじゃない!!」

魁がオレに掴みかかる。
オレはそんな魁の腕を乱暴に振り解いた。

「死んだ母さんをまた悲しませたいのか?」

オレがそう言うと、魁は、

「…えっ?」

と言う。

「母さんは、父さんをインフェルシアとの戦いで失った。そして俺達を守って死んだ。今度はお前まで死ぬ気か!?父さんはインフェルシアを、自分の命と引き換えに封印したんだ。お前は父さんが封印したインフェルシアに殺されるつもりなのかよッ!?」

「…」

魁が俯く。

「…ゴメン、兄ちゃん…」

その姿が妙に可愛らしくて。
オレの中に妙な感情が芽生え始めた。

(…魁を…)

オレの息が荒くなっていく。
下半身が疼く。

「…に、…兄ちゃん?」

オレの下半身を見たのだろう。
魁が驚いて声をあげる。

(…魁を…、…滅茶苦茶にする…!!)

「…お仕置きだ…」

「え!?」

次の瞬間、オレは魁の胸倉を掴んでいた。

「…にッ、兄ちゃん…ッ!!」

魁が苦しそうな声をあげる。
オレも信じられないでいた。
物凄い力が体の奥底から湧き上がってくる。
魁の体が地面から離れる。

ドゴッ!!

次にオレは、魁の腹部に思い切りパンチをめり込ませた。

「…あ…、…が…!!」

魁が喘ぐ。
オレは魁を前方へ放り投げた。

「うわっ!!」

魁がドスンと地面に落ちる。

「…に、…兄ちゃん…」

魁の声が震えている。
ゆっくりと歩み寄るオレ。
魁は尻で後ずさる。

「…兄ちゃん…、…ごめんなさい…。…止めてよ、…兄ちゃん…!!」

次の瞬間、オレは魁に襲い掛かった。


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