悪夢のループ 第1部第1話


ぽかぽかと陽気が降り注ぐ昼下がり。
太陽の光、風、全てが心地良い小春日和。
多くの子供達が歓声をあげる。
手を繋いだカップル達が楽しそうに行き交う。
遊具に乗った家族連れの楽しそうな表情。
時がそれぞれの中で過ぎてゆく。
ゆっくり、ゆっくり。
鷲尾岳はその光景を眺めていた。
その口元には笑みが浮かんでいる。

(…のんきでいいよな…)

でもそれが何だか気持ち良い。
それが、その光景こそが自分が守りたいものだったから。
岳は今、とある遊園地にいた。
今日はここで、久々に獅子走と再会をするのだ。

鷲尾岳と獅子走。
彼らはついこの間まで、「百獣戦隊ガオレンジャー」として地球支配を目論むオルグ達と戦っていたのだ。
岳はガオイエローとして、走はガオレッドとして。
最初はリーダーだった岳。
だが走が後にメンバーになったにも関わらず、リーダーの座に伸し上がった。
最初は張り合っていた2人。
だがその中でお互いに認め合い、戦友として、良きライバルとして戦ってきたのだ。

「遊園地で待ち合わせな!」

そう言っていた走。
だが予定時刻を過ぎても彼は現れない。

「…遅っせぇなぁ、走のやつぅ…!!」

岳は周りをキョロキョロと見渡す。
だが彼の視界には走はいなかった。
そんな時だった。
目の前のステージでヒーローショーが始まった。
子供達がキャーキャーと悲鳴をあげる。
大人はそれを複雑な表情で見ている。
岳の目も、自然にその方向へ向いていた。
ゴツゴツとした着ぐるみを着た怪人役の人間と、体にピッタリ密着するほどの、真っ白で、体の左半分がインディゴ色、その周りをゴールドのラインが走った光沢のあるスーツを着たヒーロー役の人間。
その2人が対峙している。

「魔物めッ!!お前らの好き勝手にはさせはしないっ!!」

「…」

ヒーローが身構える。
怪人は何も言わず、じっと立っている。

「行くぞォッ!!」

ヒーロー役の男が飛び掛っていく。

「はぁっ!!」

ヒーローが怪人に対してパンチやキックを浴びせる。

ドカッ!!ドゴッ!!

一瞬体をぐらつかせる怪人。
だが倒れる気配はない。

(?)

岳はその異変にいち早く気付いていた。
子供達が無邪気に歓声をあげ続ける。

「食らえッ!!」

ヒーローがパンチを繰り出した。
その時だった。

ガシッ!!

怪人がそのパンチを片手で受け止めたのだ。
そして空いている方の腕がヒーローに向かって飛んでいく。
その手はヒーローの腹部に見事に決まった。

ドボッ!!

「…ぐふ…っ…!!」

ヒーローが腹を押さえ、一瞬ひるむ。
その虚を突いて、怪人が大きな腕でヒーローをなぎ倒した。

「ぐわあああっっっ!!」

ヒーローが倒れる。
子供達の声が更に大きくなる。
だが異変は確実に起こっていた。
ヒーローが起き上がらないのだ。

「…ちょ、…ちょっと待てよ…」

マイクを通してそんな声が聞こえた。

「…だ、…台本と…違う…」

だが怪人は何も言わず、今度はヒーローを足蹴にし始めたのだ。

ドガッ!!ドガッ!!

「うぐわああああっっっ!!!!」

痛めつけられるヒーロー。
怪人の方は何も言わずひらすら蹴り続ける。
その光景に子供も、そして大人も呆然となった。

「…うぅ…」

本当にうめいている。
すると怪人はそのヒーローを仰向けに寝かせた。
そしてその足を大きく振り上げたかと思うと、ヒーローの股間目掛けて一気に振り下ろしたのだ。

「うあああっっっ!!」

怪人はグリグリとヒーローの股間を踏み付け、グリグリと足を動かす。

「…あッ、…ああッ!!…いっ、…痛ってぇぇぇっっっ!!!!」

ヒーローの男が声をあげる。
だが怪人は止めようとしない。

「…あッ、…いッ…、…あッ、あッ、あッ…!!」

そのうち、ヒーローの声が変わり始めた。
最初は悲鳴だった声が徐々に上ずり始め、荒い息遣いが聞こえ始めたのだ。
そこで岳は見た。
ヒーローの股間、光沢のある真っ白なスーツのそこがテントを張っているのを…。

(…な、…何だよ、…あれ?)

「人間どもよ…」

突然、地の底から聞こえるような低い声が辺り一帯に響き渡った。
怪人の声だった。

「見るが良い。愚かなヒーローの結末をな!」

そう言うと怪人は右手をさっと上げた。
その時だった。
舞台の袖からたくさんの下級兵と見られる者が数人現れたのだ。

「…オルゲット…!?」

岳は立ち上がった。

(…オレの、…オレの思い過ごしじゃなかった…!?)

するとそのヒーローは下級兵によって無理矢理立ち上がらされていた。

「…や、…止めろ…」

ヒーローが声をあげる。
両腕、両足をしっかりと固定されて。

「…フフフ…」

怪人がゆっくりと近付いていく。

「人間どもよ!」

怪人が観客席を向いて叫ぶ。

「さぁ、ショーの始まりだ!」

そう言うと怪人はヒーローの股間に手を伸ばし、その膨らみを手で包み込んだ。

「…あっ…!!」

ヒーローがピクリと体を跳ねらせる。
怪人はその手をゆっくりゆっくりと動かし始めた。

「…ああッ、…あぅ…!!…ああ…ん…!!」

ヒーローは身動き取れず、ただひたすら悶えるしか術がない。
怪人の手の中で、ヒーローの股間が更に硬さを増していく。

…クチュ、…クチュ…!!

やがて、卑猥な音が聞こえ始めた。
それはどうやら、マイクを通じて辺りに響いているようだった。

「…やッ、止めろォッ!!」

岳は夢中で舞台に飛び込んだ。
そしてそのヒーローを甚振っている怪人を思い切り蹴り飛ばした。

「ぐおっ!?」

不意を突かれた怪人は横へ吹き飛んだ。

「はッ!!でやッ!!」

岳はすかさず、下級兵を蹴り飛ばしていく。

「皆さんッ、これはショーなんかじゃありませんッ!!早くッ!!早く逃げて下さいッ!!」

岳がそう叫ぶと、観客席にいた者達は次から次へと蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。

「大丈夫ですか!?」

一通り観客がいなくなるのを見届けて、岳はヒーローの男に近寄る。

「…はぁ…、…はぁ…」

その男は荒い息をしたまま動かない。
岳はゆっくりとそのヒーローの股間を見る。
大きく膨らんだそれは先端を滲ませている。

「…なんてことを…!!」

「現れたな、ガオイエロー・鷲尾岳ッ!」

目の前にさっき蹴り飛ばした怪人が立っていた。

「…何故、…オレの名前を…?」

次の瞬間、岳の表情が激しくなった。

「てめぇッ、オルグの残党かッ!?」

「その通り。我が名はダークオルグ。センキが倒れたから全てが終わったわけではないのだ。お前らガオレンジャーも愚かな人間だな!」

「黙れぇぇぇッッッ!!!!」

カッとなり、我を忘れた岳。
そのままダークオルグに突っ込んでいく。

「うおおおおっっっ!!!!」

岳は走りながら、

「ガオアクセスッ!!哈ァァァッッッ!!!!」

と叫んだ。
途端に岳の体は光に包まれ、黄色の鮮やかなスーツに身を包まれていた。

「だあああっっっ!!」

岳はダークオルグにパンチを繰り出す。

ドガッ!!

だが逆にパンチを食らっていたのは岳だった。
岳のパンチが決まる直前、ダークオルグがさっと身を翻し、それを避け、すかさず下からパンチを繰り出したのだ。

「…く、…っそぉ…ッ!!」

岳はダークオルグにしがみ付く。

「…フフフ…。…食らえッ!!」

ダークオルグが岳をしっかりと抱きかかえた。
次の瞬間、ダークオルグの目が光った。

バリバリバリバリ…ッッッッ!!!!

ダークオルグの体が光ったかと思うと、物凄い高圧電流が岳の体に流れ込んだ。

「うがあああああっっっっっ!!!!」

激しい痛みが岳を襲う。

「…フッ、弱いな…!」

ダークオルグは岳を放すと、無造作に放り投げた。

「ぐふぁッ!!」

ダン、という激しい音と共に、岳の体が床に叩き付けられる。

「…見ろ、ガオイエロー」

気が付けばダークオルグは、ヒーローを演じていた男に近付き、背後から羽交い絞めにしている。
その男の股間は相変わらず膨らんだままだ。

「…はぁ…、…はぁ…」

相変わらずその男は息を荒くしている。

「コイツはオレの部下にする。お前を処刑するためのな!」

「…何…?」

するとダークオルグはその男の股間にゆっくりと手を持っていった。
そしてそれを包み込み、ゆっくりと撫で始めた。

…クチュ、…グチュ…

「…あッ、あッ!!…はぁ…ッ!!…んんッ!!」

その男が喘ぐ。
頭を仰け反らせたり、体を弓なりにしたりして。

…クチュ、…グチュグチュ…!!

「はあああっっっ!!」

徐々にその男の声が大きくなる。
と同時に、股間から出る淫猥な音も大きくなっていく。

「…や、…やめ…ろ…!!」

岳が起き上がろうとする。
しかし体が痺れて言うことを聞かない。

「…オレはさっきコイツのここを触った時からコイツの体内に少しずつ毒を送り込んでいたのだ。もうすぐ、コイツのエネルギーはオレに吸い取られるのだ」

そう言うとダークオルグはその男の膨らみを握り直し、激しく上下し始めた。

「…ああああああっっっっ!!」

ヒーローの男が叫ぶ。

グチョグチョ、グチョグチョ…!!

淫猥な音が更に大きくなる。

「さぁ、お前のエネルギーをオレにッ!!」

次の瞬間だった。

「ああああっっっっ!!!!」

絶叫と共に、

ドビュッ、ドビュッ!!ビュッビュッ!!

という音。

「う〜ん。素晴らしい量だ」

ダークオルグの手がそのヒーローの射精した精液によって濡れている。

ヌチャ…

ヒーローのスーツから手が離れた時、淫猥な音が聞こえた。

「見ろ、ガオイエロー。コイツのココはこんな状態だ」

「うわあああっっっ!!」

ヒーローの股間を見た瞬間、岳は絶叫した。
そこは大きく張り出し、そこからは少し黄ばんだ、粘着質のある液体がドロドロと溢れ出していたのだ。
そしてその染みはベルトをも越え、腹部まで濡らしていた。
岳の目の前で一人の人間がオルグによって凌辱された。
それは岳のプライドをもズタズタに引き裂いた。

「さぁ、次はお前だ!」

ダークオルグの手が岳に向かって伸びてきた。

 

「岳ゥッ!!お〜い、岳ゥッ!!」

暫くして、その戦いの場所を一人の若者が通り掛かった。

「おっかしいなぁ。どこ行っちゃったんだろ…?」

ガオレッド・獅子走。
この待ち合わせが、走と岳の両方の運命を大きく狂わせることになったのである。
走はその時、この運命をまだ知らないでいた。


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