課外授業 第37話


「…ジルマ・ジルマ・ゴンガ…!」

魁の股間の情熱を包み込むように手を置き、オレは呪文を唱えた。
ポウッとそこが光る。

「な、何をやったのよ、翼?」

麗ネェがオレに聞いてくる。
オレの股間は今にもスーツを破って飛び出してきそうなほど大きくなっていた。
多分、いつもの倍近くはあっただろう。
そのくらいオレは興奮していた。
だって、そのくらい強烈な呪文を唱えたのだから。
そして異変は起こった。

「…あ…、…が…!!」

魁が声をあげた。

「…魁?」

麗ネェが呆然と魁を見る。
魁は目をカッと見開き、涎を口元から垂らしている。
その体はブルブルと震えている。

「…ううっ、うわああああっっっっ!!!!」

次の瞬間、顔を真っ赤にし魁が叫び始めた。

「あああああっっっっ!!!!イクッ、イクッ、イクウウウッッッッ!!!!」

ドブッ!!ドブッ!!ドブゥゥゥゥッッッッ!!!!

魁がそう叫んだと同時に、魁の腰がビクンと跳ね上がった。
そして股間の中心から濃白色な、粘着質のあるものがスーツから飛び出してきた。
しかもスーツの生地という抵抗物があるのにも拘らず、思い切り空中まで跳ね上がる。

「イヤアン☆」

麗ネェが目を☆にさせ、顔は不気味なくらいニヤつかせた。

「あああああっっっっ!!!!」

魁が顔を真っ赤にし、目をギュッと閉じて叫ぶ。
そして、

「まっ、またイクウウウッッッッ!!!!」

と叫んだ。
その瞬間、

ブシュッ、ブシュッ!!
ドビュッ!!ドビュッ、ドビュドビュッ…!!

と元気良く魁の涙が噴水のごとく吹き出した。
そして魁の真っ赤な光沢のあるスーツの上にぼたぼたと落ち、その光沢を失わせた。
オレは可笑しくなってとうとう笑ってしまった。

「…ス、…スゲェよ、魁ッ!!最っ高ッ!!」

オレの目から涙が出てきた。

「…ちょ、ちょっと、翼ッ!!…な、何をやったのよぉっ!!」

麗ネェが物凄い顔でオレに聞いてくる。
麗ネェも同じように笑い転げながら、目にいっぱい涙をためて言う。

「ジルマ・ジルマ・ゴンガだよ」

「…って、まさかッ!!」

麗ネェには分かったようで、その顔が更に不気味になった。

「前に冥府神トードにバラバラにされた母さんの魂を1つにした呪文があったろ?あの呪文はあらゆるものを1つにまとめるんだ。それを応用したってわけ」

「…つまり?」

麗ネェが何となく分かったような表情をする。
オレは叫び続けている魁の左手と左足を持った。

「麗ネェ、魁の右手と右足を持てよ。魁の生体観察だ」

「うんッ!!」

そう言うと麗ネェは魁の右手と右足を持つ。

「…や、…やだ…ぁ…!!」

魁が息も絶え絶えに言う。
そして開かれまいと足に力を入れる。

「魁ぃ、そんなことしても無駄よぉ☆アタシだって魔法変身してるんですからね☆」

そう。
こんなこともあろうかと最初から麗ネェに魔法変身するように言っておいたのだ。
全てはオレのシナリオ通りに行った。

「…やっ、…止めろォォォッッッ!!!!」

魁の抵抗も空しく、魁の体は仰向けの状態で、まるでカエルの解剖のように全てを曝け出していた。

「オレがあの呪文を唱えたことで、魁の性感帯が全てココにあるんだ。だから放っておいても魁は射精し続けるってわけ」

その間にも、魁は、

「ああああっっっ!!イクッ!!イクウウウッッッ!!」

と叫び続け、

ドビュッ!!ドビュッ!!ドビュドビュッ!!

と白濁の精液を吹き上げ続ける。

「…すっごい…」

麗ネェがじぃっと魁の股間を見続ける。
スーツの中でテントを張っている股間の情熱がビクビクと脈打ち続ける。
それに連れられてスーツがざわざわと蠢く。
まるでスーツが魁の情熱に持ち上げられるように。

「…あ…、…あ…!!」

ビュクッ!!ビュクビュクッ!!

魁の目が虚ろになり、真っ赤だった顔が徐々に蒼くなり始めた。

「…そろそろヤバイんじゃない、魁?」

麗ネェが冷静に言う。

「…け…て…」

魁が呟く。

「何だよ、魁?」

「…助…け…て…。…チィ…兄ィ…」

目から涙を伝わらせ、オレを見る魁。

「…気持ち良かったか、魁?…約束通り、壊してやっただろ?」

オレはそう言うと魁の左手をそっとオレの股間へ誘導する。

「んっ!!」

魁の左手がオレの股間の情熱をキュッと握る。

「…止めを、…刺して…!!」

魁が静かに微笑む。

「…チィ…兄ィ…に…、…イかされ…たい…」

「…分かった」

オレはそう言うと魁の股間の間に立った。
麗ネェはデジカムを構えて横に立っている。

「お望み通り、イかせてやるぜっ、魁ッ!!」

オレは魁の股間の情熱をギュッと握った。

「うあああああっっっっ!!!!」

魁があまりの刺激に体を跳ねらせる。

グチュグチュグチュ…!!

「オラオラァッ!!イっちまえええッッッ!!!!」

グチュグチュグチュグチュグチュグチュ…!!!!

「うああああああっっっっっっ!!!!」

魁の股間の情熱がビクビクと脈打つ。
そしてそれがスーツと擦れ合うたびに、グチュグチュという淫猥な音がする。

「あああああっっっっ!!イクッ、イクウウウッッッッ!!!!」

その時だった。

「たっだいまぁ〜」

その瞬間、オレと麗ネェは凍り付いた。

「ふああああっっっ!!」

射精を瞬間で寸止めされて、魁が身悶える。

「あら、麗ちゃん、翼ちゃん。どしたの、魔法変身なんかして…?」

こんな状況を見て、そんなボケた発言するか、芳ネェッ!!

「どしたんだ、お前た…ち…!?」

ヤベェ!気付かれた!

「…あ、…あの…」

麗ネェが恐怖に歪んだ顔をする。
というか、泣きそうになってるぞ、麗ネェ!

「…ア…ニ…キ…」

オレも恐る恐るアニキと芳ネェの方を振り返る。

「あれ、魁ちゃん?」

芳ネェがそう言った瞬間、

「いやああああああっっっっっっ!!!!!!!!」

突然、表情が変わった芳ネェの叫び声が耳を劈いた。

「…お、…お前…達…!!」

アニキの顔が徐々に真っ赤になってゆく。

「…ま、…蒔人…兄ちゃん…、…芳香…姉ちゃん…」

魁が首だけ力なく起こす。

「あ、あの、これには深ぁいわけがあってぇ…!!」

麗ネェが慈悲を求めるようにアニキに縋り寄る。

「手にハンディカムを持っていて、なぁにがわけありだァッ!!」

火山が爆発したような音が聞こえた。

「マジ・マージ!!」

突然、アニキが魔法変身し、マジグリーンになったかと思うと、その呪文を唱えた。

「ン〜ッ、マッソォ〜ッ!!」

アニキの体がみるみるうちに筋骨隆々になってゆく。

「…ア、…アニキ…?」

絶体絶命。

「こんな神聖な場所でぇッ、何をやってんだぁっ!!」

物凄い風圧が起こったかと思うと、魁、オレ、麗ネェの体がフワリと浮いた。

!!!!

オレ達は家の天井をぶち破り、宙に浮いていた。

「なっ、何でこうなるのよぉっ!!」

麗ネェが悲鳴をあげる。

「るっせぇっ!!こうなったのはもとはといえば麗ネェのせいだろうがぁっ!!」

飛ばされながらオレが叫ぶ。

「るっさいっ!!アンタ達が変なことしてるからでしょうがぁっ!!」

「そう言いながらハンディカムだけしっかり握ってるじゃねぇかっ、麗ネェッ!!」

「当たり前でしょッ!!これは永久保存版よッ!!」

「…オレ、…イってない。…誰かぁっ、イかせてくれよォッ!!」

魁の悲鳴が響いた。

 

「…ったくぅ…」

小津家。
静かになった部屋で蒔人が立ち尽くしている。

「マジーネ・マジーネ!!」

蒔人がそう呪文を唱えるとぶち破られた天井が元の形に修復された。

「それにしてもなぁ…」

蒔人がフッと微笑む。

「翼、魁。あんなに小さかったヤツらが、あんなに立派に成長していたなんて…!!」

「ちょっとぉっ、お兄ちゃぁんッ!!」

妹の芳香がやって来て蒔人に縋り付いた。
芳香も同じように魔法変身し、マジピンクになっている。

「ちょっと見てよぉっ、これぇっ!!」

悲痛な叫び声をあげて言う芳香。

「ど、どうしたんだ、芳香?」

「これよぉっ、これぇっ!!」

芳香がスーツのスカートを捲り上げる。

「なっ、何をしてんだッ、急にィッ!!」

蒔人が素っ頓狂な声をあげる。
しかしそんな蒔人もすぐに冷静に戻った。

「な、なんでこんなとこにこんなモンがついてんのよぉっ!!」

芳香はそう言うとお腹にこびり付いている粘着質のある液体をそっと掬った。

「…これは…、…あれ…だな…」

蒔人が言う。
そう言う蒔人の口調はちょっと可笑しさを堪えているようだった。

「もぉぉっ!!あの3人ッ、ぜぇったい、許さないんだからぁっ!!」

芳香の叫び声が近所中に響き渡った。

 

(終)


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