深層の闇


意識を戻したとき、千里は生きているという不思議な感覚を感じていた。

「あたし……」

目を何度か瞬きさせ、硬直したからだを解そうと動かしたが動かなかった。
関節が痛い。
メガスーツは常に筋肉を活性化させるから、長時間着用すると負担が掛かる。

「か、身体が……」

しかも、スーツが腐食し、その機能が循環を乱している。
次第にはっきりする目の前をみると、その異様な様子が飲み込めてきた。

「……えっ…」

逆Y字型のリクライニングチェアのようなものに千里は座らされていた。
手足それぞれがステンレスワイヤーで固定されていた。

「う、動かない……」

そのワイヤーはメガイエローのパワーを持ってしてもびくともしなかった。

「起きたみたいね」

逆光になっていて声の正体がわからなかった。

「誰なの……」

急速にこみ上げてくる不安に生唾を飲み込み見守った。

「あたしだよ、メガイエロー……」

「み、みく?」

光の中から同じようにマスクオフのメガスーツ姿を現したみくの姿を見て、千里は安堵感を抱いた。

「久しぶり」

「助けてくれたの?」

こくりと頷くみく。

「じゃあ、ここは病院? メガシップ?」

首を振るみく。

「じゃあ、どこなの?」

「そんなことどうでもいいよ」

いつものみくと違う。
みくとは長らく会っていなかったが、メガスーツ姿であることを差し引いても、何か異様だった。

「どうでもいい?」

「そんなことは問題じゃないじゃん? 千里、最近、やってる??」

「やってるってなによ?」

明るい口調を保つようにつとめて千里は返した。

「これをよ……」

みくは手をピースにすると、おもむろに千里の股間に差し込んだ。
薄く繊細な感覚も感じさせるスーツを通して、みくの手が感じられる。

「――何するのよ?」

彼女は何気ないいたずらをすることがあったが、ここまで露骨なのは初めてだった。

「セックスよ、やってる?」

「そんなことどうしてこたえなきゃいけないのよ!」

美人でいやみが無ければ男は自然と集まってくる。

「私、千里が好きだったんだよ、だからこうして特別な力を得て……」

つるつるのスーツの上に浮かび上がった千里の陰核をみくが思い切り引っ張った。

「ああっ……だめ!? やめてぇ!?」

お酒が入っても感じ方は際立つけれど、これほどではなかった。

「まだまだぁ」

「ああぁ……きゃあぁ、だめぇ……あぁん!」

スーツが薄くなったことにより、感覚はよりセンシティブになる。
それにしても、血の気が引けて呆然とした顔で、友人のか顔を見る。

「やっぱり、千里、やってるみたいね」

「……そんなわけ…」

いかに親友でも性に関することなど言いたくは無かった。

「じゃあ、どうして、こんなに喘いでるのよ……」

「イヤッ! やめて、みく、どうして突然こんなこと……」

みくがおもむろにそのくりっとした瞳で千里を見て、言葉が途切れた。

「嫌なら早く、認めちゃいなよ、いつも寝てるんでしょ」

「だから、なんだっていうのよ……」

吹っ切れた口調で言うと、みくが笑う。

「今までの百倍はいっちゃうよ……」

みくの反対側の腕がするりと股間へ潜り込む。
陰核を反り返らせると、その隙間をついて陰部の中に潜り込む手が、膣の中でゆっくり上下しはじめる。

「きゃああああああっ! ああぁ、駄目ェ……」

肢体を拘束された千里が暴れた。
ワイヤーが食い込み、スーツに黒い痕を残す。
ただ手でいじられてるだけなのに、異常な性感だった。

「ああぁん……イヤァ…ァ……!!」

目を白黒させた千里が身体をぐるんぐるんと揺らすが、チェアはびくともしない。
動けないまま急速に高まりつつある千里は蒼白にして、みくの顔を静止できずに天をむいた。

「ああああああぁぁぁ……イ、イイイイ、イクゥ!」

喉を鳴らして動物のように叫んだ千里は、しばらく経って気だるい感じに瞬きして、直視した。
潮を吹いた陰部が黒く濡れ、薄いスーツはシースルーのように半透明だ。
その内側に産毛が見えていた。

「イヤァッ……」

唇を噛んで恥辱に目をそむける。
みくはそんな千里に唇を重ねキスをする。

「うぶっ…ううっ……」

イったばかりで身体が思うように動かすことの出来ない千里を弄ぶようにみくは舌を伸ばし絡め合わせた。

「んんっ…甘い…果物みたいに…甘いよ、千里……」

みくは唇をしっかり重ねたまま、今度は右手で陰核をいじり、左手で胸を鷲づかみにした。
一度絶頂を迎えたことにより、いつも以上に敏感になっていた千里の身体はたちまちに反応し、屹立した乳房がスーツにテントを張る。

「んんっ…うう……」

キスされたままで金魚のように口をぱくぱくさせるようとする千里をみくは離さない。
胸を弄る手で胸丘の側面を強く擦りつけるように愛撫し、自分の胸と密着させ激しく擦り合わせた。

「んんぁ……ふううぅん……」

恐怖に脅えた声を出す千里の口から次第に勢いがなくなっていく。
頬が緩み、みくに成すがままにされることを、身体が開いて許してしまう。
身体の緊張が糸を解かれるように消えていく。

「きもちいい?」

千里はみくの顔をみた。
二人の顔は唾液に汚れていた。

「んくっ……んんっ……」

最初にイってから何分も経っていないのに、全身が痺れたような快感で包まれていることを戸惑いがちに、口をつぐもうとしたが息が漏れる。

「きもちいい……?」

千里の目から涙がこぼれ、首は横に振られる。

「ああぁん……み、みくう……」

懇願するような千里の目、半分はやめて、半分はもっと欲しいという目だった。

「わかったよ、千里……」

胸を搾り上げられ、乳房をすくわれた。
光沢に包まれたスーツにみくは舌をのばすと、ぐじゅぐじゅっと口に含んで見せた。

「あぁ…だめ……あ、んんっ……」

千里は口をつぐんだ。
乳房を舐めあげられる間にも陰核にあてられた手は膣の敏感な部分を磨き上げるように弄っている。
愛液が止め処なくあふれ、スーツとまざりあってきゅきゅっと音をたてていた。

「あぁ……だ、め……」

 千里には何も考える余裕が無くなった。そして、再び身体を痙攣させはじめる。

「…………みくっぅ! アアアアアアアアッ!」

目の前にいる仲間の名を呼んで、千里は背筋を丸めた。
肩にワイヤーが食い込むがそんなことには構わなかった。
頭の中には、二度もイってしまったという戸惑いだけが残っていた。

「はあはあ……な、なんで……」

ただひたすらに快感だけが薄膜のように千里の身体を包み込んでいる。
みくは相変わらずの顔で、千里のことをみている。

「きもちよかった……?」

「きもち……う、はあ…なんで、なんでこんなことするの?」

「きもちよくなかったの?」

言葉に詰まった。
みくはその表情の陰りを見逃さない。

「きもちよくないなら、もっときもちよくさせてあげるから」

みくがリモコンのようなものを動かすと、千里の背中の後ろあたりでモーターか何かが振動をはじめる。
そして、逆Y字のチェアがゆっくりと足を開かせはじめる。

「……何これ…?」

「千里はスポーツ得意だから、すごーく開くよね」

開脚姿勢にされる千里、普段から身体は解しているし、小学校の時は少しだけバレエもやったことがある。
ついにほぼ180度まで開き、機械が動きをとめる。

「…………」

みくのしていることの意図が読めずに、千里は間の抜けた顔をしていた。

「すごーい、さっすがー」

みくはカッターを取り出すと、それをメガスーツにあてた。
耐久性は充分にあったが、大量の愛液を吸い、ボロボロのメガスーツは呆気なく破れてしまう。

「メ、メガスーツが……」

股間の部分が両側に開き、食虫植物のような千里の陰核が愛液と密閉されていた汗に、湯気を放ちそうだった。

「あの怪物はね、あたしが作ったんだよ」

自然に話し始めたみくの言葉に言葉を返せずに困惑する。

「千里を捕まえてね、こうやって愛するために……」

「愛する、これのどこが愛するって言うの?」

「千里だって感じてるじゃん。気持ちよければ、愛だよ」

みくの手に握られたバイブレーターを見て、千里は我を忘れて声をあげた。

「ち、違う!! そ、そんなものさっさとしまいなさい!」

「やって欲しいんでしょ!」

バイブレーターがモーター音とともに淫猥な動きをしはじめた。

「嗚呼ァ……イヤァ……ダメェ」

二度の絶頂を経てこんにゃくのようになった陰核はビックサイズのバイブレーターをも躊躇せずに飲み込んでいく。
膣の拡張する痛みはあったが、快感にかき消されようとしていた。

「ああぁん、あぁ……んんっ……」

チェアはびくともしなかったが、みくが引き裂いたスーツの縁からぽたぽたと汗や愛液が滴り落ちる。

「も、もう……ああぁ……」

「きもちいいんでしょ……」

「きもちよく……なんかぁ……」

「じゃあこれだと」

ストレートヘアを振り乱して千里が叫ぶ。
バイブレーターは胎内の深部まで到達して、まるで子宮や腸を直接愛撫しているみたいだった。

「は……ひい!!」

がくんがくんと身体は震え続け、快楽に酔って赤く染まった顔が熱っぽい色を帯びる。
もうどうにもならない快感に千里は涙がとまらない。

「はあはあ……」

普段の恋愛では、千里自身がイニシアティブを取り、責めの姿勢をとることもあったのに、腕の一本も動かせずに友人になすがままにされ、休む間もなくイかされてしまう。

「あぁあああっ……いやあ、イきたくなんか……」

身体は鉛がのしかかるように重い。
陰部ではバイブレーターが奇妙な音を立てて蠢いていた。

「正直になっちゃいなよ?」

みくは笑うと、愛液まみれのグローブを舌でなめ始めた。

「はああぁん…いやぁ……」

千里の声は震えていた。

「きもちいいんでしょ」

「よくなんか……」

ひきつった声に涙が混ざる。

「千里、これ解る?」

みくは千里の右腕のワイヤーを外すと、その手を自分の股間にあてがった。
メガスーツの上からでも、いやメガスーツの上に作られたかのように不自然な勃起物があった。

「……!?」

「あたしね…ああぁ……千里と犯りたくて、神様にお願いしたの…んんっ」

千里が触れているうちにみくのスーツの上で、キノコ型の女根はピンク色の身体をびくびくと鼓動をうちながら、たちまちに三十センチ近い大きさにまで変貌していく。

「…みく、あんた……っ」

「ねえ、解るでしょ」

その先端から出た液体の中で女根は息づき、血管の流れさえありのままに見えていた。

「犯ろうよ、千里…ね、バイブでイけないなら、あたしがイかせてあげるよ」

「やめて……みく…そんなもの……」

懇願するような千里の頭の中は、もはや仲間のことなど考えられず、メガピンクの股間に生えた異体に身体を掻き乱される恐怖しか無かった。

「そんなもの……?」

「んぷっ……」

みくは千里に口付けし身体を押し当てた。
太腿にその物体があった。
スーツが濡れ鼓動は高まる。
みくは千里の股間に手をあてがい、ゆっくりバイブを引き抜いていく。

「ああぁっ……あっん」

「んんんっ……ず」

自由になった腕はみくを拒絶しようと女根を握ったものの、逆効果だった。

「アアアァ!」

みくは千里の目の前で首を後ろに揺らし短く叫ぶ。

「そ、そんな…………」

「いやっ、すごい……っ」

びくん! びっくん!

女根は激しく上下し、その先端からゼリー状の液体をあふれさせた。
熱く煮えたぎるようなその液体を手に受けてしまった。

「ねえ、千里、いれよ……いれてぇ……」

懇願されるままに千里の上に乗りかかるとみくは一気にそれを破れたスーツの間から挿入した。

「ひいっ!!」

「んんあぁ!」

三度の絶頂を受け入れた股間は既にぐじゅぐじゅになっており、その巨大な女根を抵抗無く受け入れたが、千里はその想像を絶する痛みに顔を歪ませた。

「あああぁ……イイ…」

手淫に絶頂したままの勢いで更に肥大化するみくは、身体を上下左右に滅茶苦茶に振りはじめた。

「だ、だめ、あああぁ…ああぁ」

その躍動を千里には受け入れることしか出来なかった。

「ああぁんんっ……ね、あぁああああぁっ……」

動物のように猛るみくに乱暴に弄ばれていく。

「いや……イ、イクゥゥゥゥッッ! アアアアアアアアァ!」

千里は事切れたように喘ぎ叫んだ。

「ふうふうううぅ……はああぁん…」

みくは叫んで千里をそっちのけで腰を振る。

「ひ、ひ……み、みく…だめ……中に…」

腰を揺さぶり引き抜こうとしたが、火照った体に抵抗するだけの力は残っていなかった。

「あああ、きもちいいよ……ちさとお」

「中にださない…で…」

「む、むり……イクウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!」

そのショックに千里は息が出来なくなった。


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