オレの気持ち


「…どーしよー…」

オレはちょっと後悔していた。
勢いとはいえ、仲間であるシオンとエッチしてしまった。
しかもシオンの純真無垢な、誰ともエッチしたことがないであろう体をオレが最初にもらってしまった。
シオンは本当は、オレと同じようにドルネロと戦っているタイムレッドの竜也が好きだということも知っていた。

「…でも…」

そんなこと言ったって。
竜也は竜也で全然不甲斐ないし、シオンが不憫でならなかった。
それにオレだって竜也のことが好きだ。
だから我慢が効かなかったと言った方が早いかも…。

「…イヤイヤ!」

そうじゃない。
我慢が効かなかったのも一つだが、シオンの気持ちを考えたらいてもたってもいられなくなった。
竜也が悪いんだ!
竜也がいつまで経ってもシオンにきちんと自分の気持ちを言わないから。
だからオレはシオンのナイトになりたかった。
忠実な部下になりたかった。
それは竜也だって同じこと。
竜也だってシオンのナイトになりたいって言っていたし。

「お〜い、竜也ぁ」

オレは竜也の部屋の前にいた。
竜也はさっき、営業から部屋に帰ってきたはずだ。

「…竜也ぁ。開けるぞぉ?」

オレは竜也の部屋の扉を開いた。

「…竜也?」

目の前にはぼんやりとベッドに座っている竜也がいる。

「竜也ってば!」

「…」

オレが声を掛けるのにも気付いていない。

「竜也ぁぁぁッッッ!!」

オレはそう言うと竜也にしがみ付き、背後へ押し倒した。

「うわあああっっ!!」

ようやく気付く竜也。

「どうしたんだよぉ、ぼんやりしちゃってさぁ?」

「…ドモンん…」

不意に竜也が涙目になった。

「どっ、どうしたんだよッ、竜也ぁッ!?」

「…どうしよう、オレぇ?」

「…シオンのこと?」

何となくピンと来たオレは竜也に聞いてみる。
すると竜也はコクンと頷いた。
オレの胸がチクリと痛んだ。
オレは次の瞬間、竜也の前に土下座した。

「ゴメン!オレッ、シオンとエッチした!」

「…はぁ?」

「でも竜也が悪いんだからな!」

竜也の顔がピクリと揺れた。

「竜也がいつまで経っても自分の気持ちをシオンに伝えないからだぞ!シオンは竜也のことが凄く好きで、ホントは竜也に犯されたいって言ってた!でも竜也が何も言わないから!オレッ、シオンが不憫でならなかったんだ!」

「…そう…だよなぁ…」

いつもなら絶対に殴りかかって来るはずの竜也が殴りかかって来ない。
それよりかますますしょげてしまっている。

「…そっかぁ…。…シオン、エッチしちゃったんだ…」

「しっかりしろよッ、竜也ぁぁッ!!」

オレはプッツンキレると竜也に再び飛び掛かり、ベッドに押し倒した。

「エッチくらい誰だって何度もするだろうが!それにオレだってな、我慢出来なかったんだ!本当は竜也とシオンを見守りたいって思ってた!でもそのうち制御が効かなくなってきて。そしたらシオンが…」

オレはそう言うと竜也に抱き付いた。

「…ドモン…?」

気が付けばオレは泣いていた。

「…何とかしてくれよ、竜也ぁ…。…竜也がいつまでもそんなんじゃ、オレも辛ぇよ…。…早く、…オレも楽にしてくれよ…」

オレの目からは止めどなく涙が溢れている。

…そっか。オレ、こんなにもシオンが好きだったんだな…。

「…ごめんな…」

竜也の腕がオレをギュッと抱き締めた。
その腕にはかなりの力が入っている。
これが竜也の決意だったと言うことを、その時のオレはまだ知らないでいた。


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